外向的な子のストレートな言葉、内向型親が子どもに伝えたい「配慮」のヒント
外向的な子の率直さと、内向型親の心労
お子様が感じたことや考えたことを、飾らずストレートに言葉にする姿は、そのエネルギーあふれる外向性の表れでもあります。好奇心旺盛で、湧き上がった気持ちをすぐにアウトプットできる力は、お子様にとって素晴らしい強みとなるでしょう。
一方で、その率直さが、時に周囲の方をハッとさせたり、意図せず摩擦を生んだりする場面に、内心ヒヤリとした経験をお持ちの内向型親御さんもいらっしゃるかもしれません。内向的な性質を持つ方は、他者との関係性や場の調和を大切にされる傾向があるため、お子様のストレートすぎる言葉に、どう伝えたら良いのだろう、と悩まれることがあるかと思います。
お子様の率直さという良い面を損なわずに、他者への配慮や状況に応じた言葉選びの選択肢を伝えていくには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。内向型親御さんのエネルギー負担も考慮した、無理なく実践できるヒントをいくつかご紹介します。
なぜ外向的な子は言葉がストレートになりやすいのか
外向的な特性を持つ子どもは、エネルギーを外に向かって解放することで力を得ます。思考や感情も内にとどめるより、外に出すことで整理されたり、満足感を得たりすることがあります。そのため、頭の中で言葉を選んだり、相手の反応をじっくり予測したりするよりも、まず感じたことや思いついたことを言葉にしやすい傾向が見られます。
これは、周りを考えない失礼な行動というよりは、その子のエネルギー発散やコミュニケーションスタイルの現れとして捉えることができます。しかし、社会生活においては、相手の気持ちや状況を考慮した言葉遣いが求められる場面も出てきます。このバランスを、どのように伝えていくかが内向型親御さんの課題となり得ます。
内向型親が無理なくできる「配慮」の伝え方ヒント
お子様に「言葉の選び方」や「配慮」の視点を伝えることは、決して子どもの率直さやエネルギーを否定することではありません。それは、お子様がより円滑に、より豊かな人間関係を築いていくための「引き出し」を増やすことにつながります。内向型親御さんの性質を活かしながら、無理なくできる方法を考えてみましょう。
1. その場で全てを伝えようとしない お子様がストレートな言葉を発して、周囲が気まずくなったような場面に直面すると、親としてはすぐに注意したくなるものです。しかし、感情的になったり、多くの人がいる場所で長々と話したりすることは、親子のエネルギーを消耗させやすいだけでなく、お子様も冷静に聞くことが難しい場合があります。
ヒント: 場の雰囲気が落ち着いた後や、自宅に戻ってからなど、お子様と二人きりで落ち着いて話せる時間を選びましょう。親自身の気持ちも整理でき、穏やかに向き合うことができます。
2. 「ダメ」ではなく、「伝わる工夫」を一緒に考える 単に「そんなこと言っちゃダメ」と否定するだけでは、お子様は何がいけなかったのか理解しにくいことがあります。大切なのは、その言葉が相手にどう伝わったか、そして、同じことを伝えるなら他にどのような言い方ができるか、という視点を提示することです。
ヒント: 「さっき〇〇君に言った△△って言葉、〇〇君は少しびっくりした顔をしていたね。〇〇君は、その言葉を聞いて悲しい気持ちになったかもしれないな、とママ(パパ)は感じたよ。」のように、事実と相手の気持ちへの推測を伝えます。その上で、「もし、〇〇君にそのおもちゃについて何か伝えたいなら、どういう言い方ができるかな?」と一緒に考えたり、「『面白い形だね!』とか、『これは何?』って聞いてみることもできるね」のように、具体的な言い換えの例をいくつか提案したりしてみましょう。あくまで「選択肢を増やす」というスタンスで伝えることが重要です。
3. 親の「配慮」の姿勢を見せる 内向型親御さんは、普段から言葉を選んだり、相手の気持ちを汲んだりすることを自然と行っていることが多いかと思います。お子様は、親の日常の姿から多くのことを学びます。
ヒント: 日々の会話の中で、親が言葉を選んでいる様子を意識的に見せる、あるいは簡単な言葉で説明するのも良いでしょう。「こういう時は、こう伝えた方が相手に優しく伝わるかなと思って、この言葉を選んだんだよ」といった一言でも、お子様にとっては学びになります。
4. 短時間で、簡潔に伝える 長時間の話し合いは、内向型親御さんにとって大きなエネルギーを要します。伝えたい核心部分を絞り、簡潔に話すことを心がけましょう。
ヒント: 話し始める前に、今日の会話で一番伝えたいことは何か、を親自身が明確にしておきます。そして、ダラダラと話さず、ポイントを絞って伝えたら、「今日の話はここまでね」と切り上げる勇気も持ちましょう。繰り返し伝えることの方が大切であり、一度に全てを理解させようとする必要はありません。
5. ポジティブな言葉遣いを具体的に褒める お子様が相手を思いやった言葉を使えた時や、言葉を選ぼうと努力した様子が見られた時は、具体的に褒めてあげましょう。
ヒント: 例えば、「〇〇君が困っている時に、『大丈夫?手伝おうか?』って声をかけられたの、とても優しい言葉遣いだったね。〇〇君もきっと嬉しかったと思うよ」のように、どのような状況で、どのような言葉が、相手にどのように作用したかを具体的に伝えることで、お子様は「配慮のある言葉遣い」の具体的なイメージを掴みやすくなります。
日常のシチュエーションから学ぶ
ご家庭で、例えば絵本を読んでいる時や、テレビを見ている時など、登場人物の言動について「この時、この人はどんな気持ちだったのかな?」「もし違う言い方をしたら、この人はどう感じたかな?」のように、会話の中で自然に「相手の気持ちを考える」という視点を盛り込むことも有効です。
また、お子様が誰かに何かを伝える場面を想定して、親子で簡単なロールプレイングをしてみるのも良いでしょう。「もし〇〇先生にこれを伝えるなら、どういう風に言ってみようか?」といった練習は、お子様が様々な伝え方を試す機会となり、楽しみながら学ぶことができます。
まとめ:お子様の強みを活かしながら、共に成長する
お子様のストレートな言葉は、偽りない気持ちの表れであり、その子の魅力の一つです。そこに少し「相手への配慮」という視点が加わることで、お子様の社交性はさらに豊かなものになるでしょう。
内向型親御さんにとって、他者とのコミュニケーションで言葉を選ぶ大切さは身をもって感じていらっしゃることと思います。その視点を、無理なくお子様に伝えていくことは、きっとお子様にとって大切な財産となるはずです。一度に完璧を目指す必要はありません。お子様の成長に合わせて、少しずつ、繰り返し伝えていくことを心がけてください。内向型親御さん自身のペースを大切にしながら、お子様と共にコミュニケーションの「引き出し」を増やしていきましょう。