外向的な子の「動きたい」「話したい」は素晴らしい!内向型親が子どものエネルギーを肯定的に捉えるヒント
内向型であるご自身の性質と、エネルギッシュで社交的なお子さんのニーズとの間で、日々バランスを取ることに難しさを感じていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。特に、お子さんの「もっと動きたい」「もっと話したい」という強い欲求に触れるたびに、ご自身の静かに過ごしたい気持ちとのギャップに戸惑ったり、「自分の内向性が、この子の可能性を狭めてしまっているのではないか」と、ご自分を責めてしまうような気持ちになることもあるかもしれません。
しかし、お子さんが持つその有り余るエネルギーや、人との関わりを自然に楽しむ力は、お子さんの素晴らしい個性であり、「強み」として捉えることができる大切な宝物です。このエネルギーを肯定的に捉え、内向型のご両親が無理なくその強みを育むためのヒントをいくつかご紹介します。
お子さんの外向性を「素晴らしい強み」として捉え直す視点
お子さんの「外向性」を、単なる「落ち着きのなさ」や「騒がしさ」ではなく、その裏にある肯定的な側面として見てみましょう。
- 「じっとしていられない」→「探求心と行動力」 新しい場所や状況にすぐ飛び込んでいく、体を動かすのが大好き。これは、世界を探求したいという強い意欲と、それを実行に移す行動力の現れです。多くの経験を通じて学び、成長していくための大切な原動力となります。
- 「よくしゃべる、賑やか」→「高いコミュニケーション能力と社交性」 思ったことをすぐに言葉にする、初対面の人にも物おじしない、友達との会話を楽しむ。これは、自分の考えを表現する力や、他者と良好な関係を築くための基盤となる力です。多様な人々と関わり、刺激を受けて成長していく上で大きなアドバンテージになります。
- 「色々なことに興味を持つ」→「旺盛な好奇心と多様な才能の可能性」 あれもこれも「やってみたい!」と目を輝かせる。これは、尽きない好奇心と、様々な分野で才能を開花させる可能性を示しています。広い視野を持ち、新しい知識やスキルをどんどん吸収していく力につながります。
ご自身の内向的な性質から、お子さんのこれらの行動が「どうしたら落ち着かせられるか」という視点になりがちかもしれません。しかし、お子さんの行動の根底にある肯定的な欲求や能力に目を向けることで、見え方が変わり、関わり方のヒントが得られるはずです。
内向型のご両親ができる、無理なく「強みを伸ばす」サポートのヒント
お子さんの外向性を肯定的に捉えた上で、内向型のご両親がご自身のペースを大切にしながらできるサポート方法を考えてみましょう。
- 具体的な行動を褒める・言葉にする お子さんがエネルギッシュに遊んでいる時や、友達と楽しそうに話している時、「すごいエネルギーだね!」「〇〇くんと楽しそうに話せてすごいね」のように、お子さんの行動そのものや、その行動から見える肯定的な側面に具体的に言及してみてください。「うるさい」「落ち着きなさい」という言葉だけでなく、「走るのが速くなったね」「お友達に優しく声をかけてあげたんだね」といった言葉を選ぶことで、お子さんは自分のエネルギーや社交性が肯定的に受け止められていると感じることができます。
- 「安全な発散場所」と「見守る時間」を確保する お子さんの有り余るエネルギーは、安全な場所で発散させてあげることが大切です。公園、地域の遊び場、習い事(運動系など)など、お子さんが思い切り体を動かしたり、他者と関わったりできる機会を意図的に設けましょう。この際、必ずしもご両親が一緒になって走り回ったり、積極的に他の保護者と交流したりする必要はありません。ベンチに座って見守る、少し離れた場所で読書をするなど、ご自身のペースで過ごす時間を確保することも、お子さんの安全を見守りつつ、ご両親自身のエネルギーを温存するために有効です。お子さんが友達と遊んでいる間、相手のお宅にお任せしたり、短時間だけ自宅に招いたりするのも一つの方法です。
- 好奇心を満たす「静的なサポート」を取り入れる 外向的なお子さんは、興味の対象が次々と変わることもあります。その探求心を満たすために、すべてに付き合うのは大変ですが、ご両親の内向的な性質を活かした「静的なサポート」も有効です。例えば、興味を持ったことについて一緒に図鑑を見たり、インターネットで調べたりする時間を持つのはいかがでしょうか。特定のテーマについてじっくり話を聞いてあげることも、お子さんの思考を深める助けになります。このように、体を動かすことだけでなく、座ってできる探求のサポートも、お子さんの好奇心という強みを伸ばすことにつながります。
- ご自身の「一人時間」を確保することへの罪悪感をなくす 内向型のご両親にとって、リフレッシュのための「一人時間」は不可欠です。お子さんのエネルギーについていくことに疲れてしまった時、少しの時間でも静かに過ごすことは、再びお子さんに向き合うための大切なエネルギーチャージになります。お子さんが安全に一人遊びできる時間、兄弟や友達と遊んでいる時間などを活用し、罪悪感を感じずにご自身の時間を持ってください。親が心身ともに満たされていることは、結果としてお子さんへの安定した関わりにつながり、お子さんの強みを伸ばす上でも重要な要素となります。
例えば、週末の朝、お子さんがリビングで元気に遊び始めたら、「少しの間、ママ/パパはお茶を飲みながらこれを見てるね。何かあったら声をかけてね」と伝え、安全な見守り体制を確保しつつ、ご自身は静かに本を読んだり、考え事をしたりする時間を取ることもできるでしょう。公園で子どもが友達と夢中で遊んでいる間、ベンチで他の保護者と無理に話そうとせず、静かに見守りながら心の中でエールを送ることも十分なサポートです。
まとめ
外向的なお子さんが持つエネルギーや社交性は、将来に向けて大きく花開く可能性を秘めた素晴らしい強みです。内向型のご両親だからこそ、そのエネルギーを一方的に抑制するのではなく、安全な範囲で見守り、肯定的な言葉で認め、時に静的なサポートで深みを与えるといった、独特のバランスの取れた関わり方が可能です。
ご自身の内向性と、お子さんの外向性。異なる性質を持つからこそ、お互いを理解し、尊重し合う過程の中で、親子の絆はより一層深まります。完璧を目指す必要はありません。ご自身のペースを大切にしながら、お子さんの「動きたい」「話したい」という根源的な欲求を肯定的に捉え、その素晴らしい強みを無理なく、そして温かく見守りながら育んでいってください。