外向的な子が目標を見つける・計画を立てる時、内向型親が無理なくできる声かけと見守り方
外向的な子どもの「やってみたい!」を形にする難しさ
外向的なお子さまは、新しいことへの興味や「やってみたい!」という気持ちが湧きやすく、すぐに行動に移すエネルギーを持っています。これは素晴らしい強みです。一方で、その興味が多岐にわたったり、衝動的に行動に移すあまり、物事を順序立てて考えたり、長期的な計画を立てたりすることに難しさを感じることがあるかもしれません。
内向型である親御さまの中には、ご自身が熟考してから行動に移したり、計画を立ててから取り組むことを得意とされる方もいらっしゃるかもしれません。そのため、お子さまの行動を見ていると「もう少し考えてからでも」「計画を立てた方がスムーズでは?」と感じ、どのようにサポートすれば良いのか悩まれることがあるかもしれません。お子さまのエネルギーを削ぐことなく、彼らが目標を見つけ、それを形にしていくプロセスを、内向型親ならではの方法でサポートするヒントをいくつかご紹介します。
目標を見つける過程を「聞き役」としてサポートする
外向的なお子さまは、自分の頭の中で考えを整理するよりも、話しながら思考を深める傾向があります。「あれもしたい、これも気になる」と次々とアイデアが湧き出るお子さまに対し、内向型親御さまはじっくりと耳を傾ける「聞き役」に徹することができます。
- オープンエンドな質問をする: 「何に一番興味があるかな?」「それをやってみて、どんな風になりたい?」など、答えがYes/Noにならない質問をすることで、お子さま自身が自分の考えや興味を掘り下げられるよう促します。
- 話のキーワードを拾う: お子さまが熱心に話す中で出てくる特定の言葉やテーマに注目し、「〇〇について、もっと詳しく聞かせてもらえる?」のように焦点を当てることで、漠然とした興味を少しずつ明確にする手伝いができます。
- すぐにアドバイスをしない: 親御さまの経験からくる助言は役立つこともありますが、まずは最後までお子さまの話を聞くことを優先します。話すことでお子さま自身が考えを整理し、次に取るべきステップが見えてくることもあります。
「サッカー選手になりたい!」と漠然とした目標を口にしたお子さまに、「サッカー選手のどんなところがかっこいい?」「練習で一番楽しいのはどんな時?」と優しく問いかけることで、お子さまは自分の内側にある本当の願望や、具体的なイメージを言葉にする練習ができます。これは、親御さまが大きなエネルギーを使わずに行える、効果的な目標探しのサポートです。
小さな一歩と「見える化」で計画をサポートする
目標が見えてきたら、次はその目標に向かってどのように進むかを考えます。外向的なお子さまにとって、遠い未来の大きな目標は時に途方もなく感じられることがあります。内向型親御さまの得意な「分解して考える」「整理する」視点がここで活かされます。
- 目標を小さなステップに分ける: 例えば「逆上がりができるようになりたい」という目標なら、「まずは鉄棒にぶら下がる」「次に足を振ってみる」のように、超えられる小さな目標に分解します。この「小さな一歩」なら、「とりあえずやってみよう!」というお子さまのエネルギーをスムーズに活かすことができます。
- 計画を「見える化」する: 紙に書き出す、カレンダーに印をつける、チェックリストを作るなど、お子さまと一緒に計画を「見える化」してみましょう。内向型親御さまの整理能力が役立ちます。一つ一つのステップをクリアするたびにチェックを入れることで、お子さまは達成感を感じやすく、モチベーションを維持しやすくなります。
- 柔軟性を持つ: 計画通りに進まない日があっても大丈夫、というゆとりを持つことが大切です。「今日は難しかったね。明日はどうする?」と、責めるのではなく次を考える声かけをします。計画はあくまで目標達成を助けるツールであり、完璧さを求めるものではないことを、親御さま自身も理解しておくことが負担軽減につながります。
夏休みの自由研究で「昆虫について調べる!」と意気込んだものの、何から始めていいか分からず行き詰まっている様子のお子さまに、「まずは図鑑で好きな昆虫を3種類見つけるのはどうかな?」「次に、その昆虫について知りたいことを一つ質問にしてみよう」と、具体的な最初のステップを提案する、といった関わり方が考えられます。親御さまは隣でそっと見守り、必要な時に具体的な方法を提示するだけで十分なサポートになります。
内向型親だからこそできる、見守りと共感
外向的なお子さまの目標達成や計画のプロセスをサポートする上で、内向型親御さまの持つ特性は大きな強みになります。
- 静かな観察: 活発に動くお子さまを、一歩引いた場所から静かに観察することで、お子さま自身も気づいていない興味の方向性や、計画のどの段階でつまづいているのかに気づきやすくなります。
- 言葉の選び方: 多くの情報の中で、核心をつく言葉を選んでお子さまに伝えることができます。少ない言葉でも、お子さまが「なるほど」「やってみよう」と思えるような、明確で温かい声かけを意識してみましょう。
- プロセスへの共感: 結果だけでなく、目標に向かって努力するプロセスそのものに価値を見出し、共感する姿勢を示します。「毎日続けるのは大変だけど、頑張っているね」「〇〇を調べるために、こんな工夫をしたんだね」など、具体的な行動を認め、励ます言葉は、お子さまの自信につながります。
すべてを親御さまが主導する必要はありません。お子さまのエネルギーを信頼し、彼らが自分自身で目標を見つけ、計画を進めていく力を信じることが、何よりも大切なサポートです。内向型親御さまの落ち着いた見守りと、丁寧な言葉かけは、お子さまの「やってみたい!」という気持ちを、地に足のついた「できた!」に変えていくための確かな支えとなるでしょう。
お子さまの持つ外向的なエネルギーと、親御さまの持つ内向的な視点を組み合わせることで、お子さまは多様な視点から物事を捉え、目標に向かう力を育んでいくことができるはずです。完璧を目指さず、お子さまの成長を楽しみながら、親御さまご自身のペースで関わっていくことが、何よりも大切です。