将来の夢や進路、外向的な子どもとどう話す?内向型親ができる無理のない関わり方
外向的な子どもと「将来の夢」を語り合う難しさ
外向的なお子さまは、日々の生活の中で様々な刺激に触れ、次々と新しいものに興味を持つことが多いかもしれません。「将来は〇〇になりたい!」「いや、やっぱり△△もいいな!」と、その時々の関心に応じてたくさんの夢を語ってくれることでしょう。その豊かな感性や意欲は素晴らしい才能ですが、内向型である私たちは、その目まぐるしい変化や多様な興味を目の前にして、「一体どこから話を聴けば良いのだろう」「現実的にどう考えたらいいのだろう」と、少し立ち止まってしまうこともあるかもしれません。
将来の進路や夢について、子どもとじっくり話し合う時間は大切にしたいけれど、どう向き合えば良いか迷ってしまう。子どもが熱く語る一方で、どう相槌を打てば良いか、どう質問すれば考えが深まるのか、戸惑いを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、自身の内向的な性質から、積極的に話題をリードしたり、子どもの突飛なアイデアにも瞬時に反応したりするのが難しいと感じることもあるかもしれません。
しかし、内向型である私たちの特性は、このような話し合いにおいて、実は大きな強みとなり得ます。子どもの夢や興味を無理なく受け止め、建設的な対話をするためのヒントをいくつかご紹介いたします。
1. まずは「聞くこと」に徹する
外向的なお子さまは、話しながら考えを整理したり、自分の感情を表現したりする傾向があります。将来の夢についても、頭の中で考えがまとまる前から、言葉にして話し始めることが多いでしょう。
このような時、内向型である私たちは、まずは聞き役に徹することができます。質問攻めにしたり、すぐに現実的なアドバイスをしたりするのではなく、「ふむふむ」「そうなんだね」と、まずは子どもの言葉をそのまま受け止める姿勢が大切です。話の途中で割り込まず、子どもが話し終えるまで静かに耳を傾けることは、内向型親が得意とするところかもしれません。
共感を示す際は、「色々なことに興味を持てて、すごいね」「△△になりたいって思うんだ、面白そうだね」のように、子どもの発言そのものを肯定的に捉える言葉を選んでみてください。
2. 「今」の興味から話を広げる
「将来、宇宙飛行士になりたい!」「でも、やっぱりパン屋さんも楽しそう!」など、壮大だったり、かけ離れていたりする夢が次々と語られるかもしれません。すぐに「どうやったらなれるの?」「それには数学が必要だよ」といった現実的な話をするのではなく、まずは「どうして宇宙飛行士に興味を持ったの?」「パン屋さんの一番好きなところはどこ?」のように、今の興味の源泉について質問をしてみましょう。
例えば、宇宙飛行士なら「宇宙のどんなところが面白いの?」「関連する本を読んでみる?」、パン屋さんなら「どんなパンが好き?」「今度一緒にパン作りをしてみる?」など、「今」できることや「今」の興味を満たす行動に焦点を当ててみてください。これにより、壮大な夢へのプレッシャーを軽減しつつ、子どもの「好き」という気持ちを深めるサポートができます。内向型親は、情報収集や計画を立てることが得意な場合が多いので、関連する書籍や情報を探して子どもにそっと提示する、といったサポートも無理なく行えるでしょう。
3. 思考を整理するお手伝いをする
外向的なお子さまは、同時にたくさんのことを考えたり、思考が飛びやすかったりすることがあります。話し合いの途中で、話があちこちに飛んでしまうこともあるかもしれません。そんな時、内向型親は、子どもの思考を整理するお手伝いをすることができます。
例えば、話している途中で出てきたキーワードやアイデアを、紙に書き出してみる。「宇宙」「パン」「恐竜博士」「サッカー選手」...と、箇条書きにするだけでも、子どもは自分の頭の中が整理される感覚を得られます。また、「今の話は、宇宙飛行士の時の話かな?それともパン屋さんの時の話?」のように、穏やかに確認を促すことも有効です。内向型親の持つ落ち着きや、物事を構造的に捉えようとする視点が役立つでしょう。
4. 内向型親自身の経験を穏やかに共有する
「大人になったらどうなるの?」「仕事って楽しいの?」といった疑問を子どもが持つこともあるかもしれません。その際、内向型親自身の経験を、押し付けにならない形で穏やかに共有してみることも有効です。
「パパ(ママ)はね、子どもの頃は〇〇に興味があったんだけど、大人になって今の△△の仕事に就いたんだよ。この仕事のこういうところが面白いんだ」というように、自身の経験を具体的なエピソードを交えて話すことで、子どもは「大人の世界」や「働くこと」について具体的なイメージを持つことができます。自分のキャリアパスが一直線ではなかったことや、様々な経験を経て今があることを伝えるのも良いでしょう。自分の内向的な性質が仕事でどのように活かされているか、あるいはどんな苦労があったかを話すことも、子どもが多様な働き方や生き方があることを理解する助けになります。
5. 焦らず、変化を受け入れる姿勢を持つ
子どもの夢は、成長とともに変化していくものです。昨日言っていたことと、今日言っていることが違っても全く問題ありません。むしろ、様々な可能性を模索し、自分の「好き」を見つけようとしている証拠です。
内向型親は、一つのことをじっくり深掘りするのが得意な場合が多いかもしれませんが、外向的なお子さまの「広く浅く」たくさんのことに触れたい、という欲求も尊重することが大切です。将来の夢を一つに決めさせようと焦ったり、「そんなの無理だよ」と否定したりするのではなく、「今はそういうことに興味があるんだね。面白いね!」と、その時々の関心を受け入れる姿勢を持ちましょう。
私たち内向型親は、子どもの熱量に圧倒されてしまうこともあるかもしれませんが、無理に同じテンションで応じる必要はありません。聞き役に回り、思考の整理を助け、情報収集をサポートするなど、内向型ならではのきめ細やかなサポートを通じて、お子さまの多様な興味や将来への探求心を支えることができます。お子さまが自信を持って自分の道を歩んでいけるよう、あなたのペースで、穏やかに寄り添っていきましょう。