外向的な子の「やってみたい!」に内向型親の「大丈夫かな…」どうバランスを取る?挑戦を支える見守り方のヒント
外向的な子の「挑戦したい!」と内向型親の「大丈夫かな…」
お子様が新しいことや少し難しそうなことに果敢に挑戦しようとする姿を見て、「すごいな」と感じると同時に、「大丈夫かな」「怪我しないかな」とヒヤリとすることはないでしょうか。特に、ご自身がどちらかというと石橋を叩いて渡るタイプである場合、お子様のその行動力に驚き、心配が募ることもあるかもしれません。
外向的な傾向を持つ子どもは、新しい環境や活動からエネルギーを得やすく、リスクを恐れずに未知の領域へ一歩踏み出すことを楽しむ傾向が見られます。一方で、内向的な傾向を持つ親御様は、物事を深く考え、起こりうるリスクを慎重に評価することに長けています。この特性の違いが、子育てにおいて「挑戦したい子ども」と「心配になる親」という形で現れ、どのように見守るべきか悩みの種となることがあります。
お子様の挑戦したい気持ちを尊重しつつ、安全に成長をサポートするために、どのようにバランスを取れば良いのか。ここでは、内向型親御様の視点に寄り添いながら、外向的なお子様の挑戦を見守るためのヒントをいくつかご紹介します。
なぜ、このギャップは生まれるのか?お互いの特性を理解する
まず、このギャップが生まれる背景には、外向型と内向型それぞれのエネルギーの源と行動パターンの違いがあることを理解しておくと良いでしょう。
外向型の子どもは、外部からの刺激や人との関わり、活動的な経験を通してエネルギーをチャージします。新しい場所へ行くこと、初めてのことに挑戦すること、体を思いっきり動かすことなどが大好きで、自然と外へ外へと意識が向かいやすい傾向があります。失敗を恐れずに行動することで、学びや成長を加速させていきます。
対して、内向型の大人は、一人の静かな時間や慣れた環境でエネルギーを回復させます。新しいことや変化に対しては慎重になりやすく、行動する前にじっくりと考えを巡らせることを好む傾向があります。リスクを詳細に分析し、計画を立てることに長けているため、お子様が衝動的に見える行動をとるのを見ると、危険を予測して心配になるのは自然な反応です。
どちらの特性が良い、悪いということではなく、これらは多様な個性の一部です。お子様の「やってみたい!」という気持ちは、世界を広げ、成長するための大切な原動力です。そして、親御様の「大丈夫かな?」という心配は、お子様を危険から守ろうとする愛情深い気持ちの表れです。この違いを理解することが、バランスの取れた見守りへの第一歩となります。
子どもの挑戦を支える、内向型親ができる見守り方
お子様の挑戦したい気持ちと親御様の心配な気持ち、その間で折り合いをつけるための具体的な見守り方を考えてみましょう。
1. リスクを冷静に評価し、「どうすれば安全か」を共に考える
お子様が何か新しいことに挑戦したいと言い出したとき、すぐに「危ないからダメ」と否定するのではなく、一度立ち止まってその活動のリスクを冷静に評価してみてください。例えば、公園の高い遊具に挑戦したい場合、その遊具の構造、安全マットの有無、周囲の状況、お子様のこれまでの運動能力などを観察します。
全くの無謀な挑戦であれば、代替案を提案したり、今はまだ難しい理由を丁寧に説明したりすることが必要です。しかし、多少のリスクはあっても、お子様の成長にとって有益であると判断できる場合は、「どうしたらもっと安全にできるかな?」と、お子様と一緒に具体的な方法を考えてみるのが効果的です。ヘルメットを着ける、手袋をする、親が見守る場所を決めるなど、安全策を話し合うことで、お子様自身もリスクを意識するようになります。
2. スモールステップでの挑戦を提案する
いきなり大きな挑戦は、親御様にとって大きな負担になるかもしれません。お子様の「やってみたい!」という気持ちを大切にしつつ、より小さなステップに分けて挑戦することを提案してみるのも一つの方法です。
例えば、いきなり本格的なスポーツに挑戦するのではなく、まずは体験会に参加してみる。高い場所に登る練習として、最初は低い台から試してみるなどです。段階を踏むことで、お子様は少しずつ自信をつけ、親御様も不安を和らげながら見守ることができます。親が「ここまでなら大丈夫」というラインを設け、そこまでは見守り、それ以上のステップに進む前に再度安全を確認するという関わり方も考えられます。
3. 「見守る」と「介入する」のバランスを見つける
お子様が挑戦している間、親御様はじっと見守ることになるかと思います。ここで大切なのは、「見守る」ことと「放置する」ことの違いです。物理的に安全な距離を保ちつつ、お子様の様子に注意を払うことが重要です。常に口出ししたり、手助けしすぎたりすると、お子様の自立心や達成感を損なう可能性があります。
本当に危険が迫っている場合を除いては、すぐに手を出さず、お子様が自分で考え、解決しようとするプロセスを見守ります。そして、お子様が助けを求めたときや、どうしても乗り越えられない壁にぶつかったときに、優しくサポートの手を差し伸べます。親が近くで見守ってくれているという安心感は、お子様にとって心強いものです。
4. 挑戦後のフォローを大切にする
挑戦の結果が成功でも失敗でも、その後の親御様の関わり方がお子様の次の挑戦に大きく影響します。
もし成功したら、「すごいね!」「頑張ったね!」と具体的に褒め、達成感を共有します。
もし失敗したとしても、「ほら、だから言ったでしょ」といった否定的な言葉ではなく、「よく挑戦したね」「惜しかったね」「次はどうしたらうまくいくかな?」と、挑戦したプロセスを肯定し、次に繋がるような前向きな声かけを心がけます。失敗から学ぶことの大切さを伝える機会にもなります。
5. 親自身の不安とも向き合う
お子様の挑戦を見守る中で、親御様自身が不安を感じるのは全く自然なことです。その不安を否定せず、「私は今、子どもが怪我しないか心配に感じているんだな」と自分の感情を認識することが大切です。
時には、お子様の挑戦を他の信頼できる家族(配偶者や祖父母など、親御様とは異なる視点や特性を持つ方)に任せてみることも検討できます。一人の親が抱え込まず、チームとして子育てに取り組むことで、多様な見守り方が可能になり、親御様自身の負担も軽減されます。
完璧を目指さず、お互いの特性を認め合う
外向的なお子様の「やってみたい!」というエネルギーと、内向型親御様の「大丈夫かな…」という慎重さ。この二つは、決して対立するものではなく、お子様が安全かつ豊かに成長していく上で、互いを補い合う可能性を秘めています。
お子様の挑戦を全て受け入れる必要も、ご自身の心配を全て抑え込む必要もありません。できることから少しずつ、お子様と共に「安全に挑戦する方法」を学び、見つけていくプロセスを大切にしてみてください。親御様の慎重さは、お子様が無謀なリスクに突っ込むのを防ぐフィルターとなり、お子様の挑戦力は、親御様に新しい世界を見せてくれるきっかけとなるでしょう。
お互いの特性を認め合い、尊重しながら、お子様の成長の道のりを共に歩んでいくことが、何よりも大切です。完璧を目指さず、今日の小さな一歩を大切に、見守りのバランスを探してみてください。