外向的な子の「見て!」「聞いて!」に、内向型親が無理なく応えるヒント
お子様が何かを発見した時、新しいことができるようになった時、「見て!」「聞いて!」と嬉しそうに話しかけてくれることは、成長の証であり、親としては喜ばしい瞬間の一つです。特に外向的な傾向のお子様は、自分の内側から湧き上がるエネルギーを外に向けて表現することを得意とし、発見や驚き、喜びを誰かに伝えたいという気持ちが強いかもしれません。
しかし、内向的な性質を持つ親御様の中には、こういったお子様からの頻繁な声かけや、活動の報告一つひとつに丁寧に応じ続けることに、エネルギーの消耗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。仕事や家事で集中したい時、あるいはほんの少しでも静かに過ごして心身を休めたい時に限って、「見て!」「聞いて!」という声がかかることもあります。全てに応えられないことへの罪悪感や、どのようにバランスを取るべきかという悩みを抱えることもあるのではないでしょうか。
ここでは、内向型親が自身のエネルギーを無理なく守りながら、外向的なお子様の承認欲求や表現したい気持ちに応えるための具体的なヒントをいくつかご紹介します。
全てに「フルパワー」で応える必要はないという考え方
まず大切なのは、「子どもの全てのリクエストに、常に同じテンションとエネルギーで応えなければならない」という考えを手放すことです。親御様自身のエネルギーレベルは日々変動しますし、状況によって集中力も異なります。お子様からの声かけがあった際に、その内容や状況を踏まえ、「今、どの程度応えることができるか」を判断することも、ご自身を守るためには必要なことです。
もちろん、お子様の「見て!」「聞いて!」という気持ちを無視するわけではありません。大切なのは、応答の「量」ではなく「質」を高めること、そして無理なく続けられる方法を見つけることです。
応答の質を高めるための具体的なヒント
お子様の声かけがあった際に、エネルギーを過度に消耗せず、かつお子様の気持ちに応えるための具体的な方法をいくつかご紹介します。
- 短時間でも集中して聞く時間を設ける: 例えば、「〇〇している間は難しいけれど、これが終わったら、タイマーを5分セットして、その間はしっかりお話しを聞く時間にするね」のように、終わりを決めた集中時間を作ることで、お子様も待つことができますし、親御様も区切りがあることで見通しを持って向き合えます。
- 相槌やアイコンタクトで「聞いているよ」を伝える: 必ずしも長い返答やリアクションが必要なわけではありません。お子様が話している間、顔を見て頷いたり、「うんうん」「なるほどね」と短い相槌を挟んだりするだけでも、お子様は「聞いてもらえている」と感じやすくなります。料理中や作業中でも、一度手を止めてお子様の目を見ることを意識するだけでも効果的です。
- 「後でね」の伝え方を具体的にする: 「後でね」という言葉だけでは、お子様はいつになるのか分からず不安になることがあります。「この本を読み終わったらね」「時計の長い針が3のところに来たらね」のように、具体的な目安を示すことで、お子様は安心して待つことができます。そして、その時間になったら必ず応えることが信頼につながります。
- 「見ているよ」「聞いているよ」のサインを決める: 例えば、お子様が何かを見せに来た時、すぐに声を出すのが難しければ、親指を立てる、笑顔で頷く、などのジェスチャーを親子で決めておくのも良い方法です。「このマークは、『ママは今すぐ声は出せないけど、ちゃんと見ているよ』っていうサインだよ」と伝えておくと、お子様もサインで理解してくれることがあります。
- 物理的に少し距離を置く時間を作る: 必ずしも別の部屋に行く必要はありません。例えば、お子様がリビングで遊んでいる横で、親御様はソファに座って静かに本を読む、など、同じ空間にいてもそれぞれが別の活動をする時間を持つことも有効です。お子様には「今からママは少し静かな時間がほしいな」と伝え、「でもすぐそこにいるからね」と安心させてあげてください。
- 親自身のエネルギーレベルを正直に伝える(年齢に応じて): お子様がある程度成長したら、「今ね、ママは少し疲れているから、静かに考えたい時間なんだ。〇〇ちゃんがお話しを聞いてほしい気持ちもよくわかるよ。でも、少しだけ待ってもらってもいいかな?」のように、ご自身の状態を伝え、協力を求めることも有効です。感情的にならず、落ち着いて話すことがポイントです。
日常のワンシーンでの実践例
例えば、お子様が一生懸命描いた絵を持ってきて「見て!」と言ったとします。ちょうどメールの返信中で集中したい時かもしれません。
- NG例: 「ちょっと今忙しいから後にして!」(お子様は拒否されたと感じやすい)
- OK例: 一旦画面から顔を上げ、お子様の顔と絵に目を向けます。「わあ、すごい絵だね!ありがとう。ママ、今このメールだけ送りたいから、あと2分だけ待ってもらってもいいかな?終わったらすぐに見せてもらえる?」のように、肯定的な言葉で受け止めつつ、具体的な待つ時間を示します。そして、その時間になったら改めて絵を見て、具体的に褒めるポイントを見つけて伝えます(例: 「この色、すごくきれいだね!」「この線の勢いがダイナミック!」)。
また、お子様が友達との出来事を興奮気味に長々と話している場合。全てを詳細に覚える必要はありません。相槌を打ちながら、楽しかったこと、驚いたことなど、お子様が一番伝えたかったであろうキーワードをいくつか拾って、「へえ、それは楽しかったね!」「そういうことがあったんだ、すごいね!」のように、短い言葉で反応するだけでも、お子様は満足感を得やすくなります。
まとめ
外向的なお子様の活発なコミュニケーションは、お子様が世界と積極的に関わろうとする素晴らしい力です。内向型親御様がその全てを正面から受け止めることに疲れを感じることは、決して「親失格」などではありません。それは単にご自身の性質に正直であるということです。
大切なのは、ご自身のエネルギーを上手に管理しながら、お子様との愛着関係を育むための無理のない方法を見つけることです。今回ご紹介したヒントが、日々の暮らしの中で、お子様の「見て!」「聞いて!」の声に、少しでも穏やかに、そしてご自身の負担を少なく向き合うための一助となれば幸いです。完璧を目指す必要はありません。今日できることから、一つずつ試してみてください。