外向的な子の冒険心と内向型親の心配性、安全に見守るバランスの取り方
内向型親が、外向的なお子さまの子育てで直面しやすい課題の一つに、お子さまの強い「冒険したい」という気持ちと、親御さん自身の「安全でいてほしい」という心配との間のバランスの取り方があるかもしれません。お子さまが興味の赴くままに高いところに登ろうとしたり、初めての場所でも物怖じせず走り回ったりする姿に、ヒヤリとすることも少なくないのではないでしょうか。
外向的なお子さまの「冒険心」とは
外向的な傾向のあるお子さまは、一般的に外部からの刺激を求め、新しい環境や活動に対して積極的な姿勢を示すことが多いと言われています。これは、生まれ持った気質の一つであり、世界を探求し、様々な経験を通じて学び、成長していくための大切なエネルギー源とも言えます。新しいことに挑戦したり、体を思い切り動かしたりすることから大きな喜びや満足感を得るため、時には親御さんから見ると「無謀では」と感じられるような行動に出ることもあるかもしれません。
内向型親が抱きがちな心配
一方、内向的な傾向のある親御さんは、物事を深く考え、リスクを慎重に評価する傾向があるかもしれません。そのため、お子さまの予測不能な行動や、少しでも危険を感じる状況に対して、強い心配や不安を感じやすい場合があります。お子さまに怪我をさせたくない、失敗でつらい思いをさせたくないという強い思いから、知らず知らずのうちに、お子さまの行動を制限してしまうことがあるかもしれません。
お子さまの安全を願う親御さんの気持ちは、何よりも大切です。しかし、過度な制限は、お子さまが自信を持って世界を探索する機会を奪ってしまったり、新しい挑戦への意欲を削いでしまったりする可能性も考えられます。では、お子さまの安全を守りながら、その健やかな冒険心を育むためには、どのようなバランス感覚が必要なのでしょうか。
冒険心と安全の間でバランスを取るためのヒント
内向型親御さんが、外向的なお子さまの冒険心と向き合い、安全を確保しつつ成長を見守るための具体的なアプローチをいくつかご紹介します。
リスクの種類を見分ける視点を持つ
お子さまがやろうとしていることが、「無謀で避けるべき危険」なのか、それとも「成長に必要な、管理できるリスクを伴う挑戦」なのかを見分ける視点を持つことが役立つかもしれません。例えば、交通量の多い道路に飛び出すのは明らかな危険ですが、大人が見守る安全な公園で、少し高さのある遊具に挑戦するのは、バランス感覚や体の使い方を学ぶための大切な挑戦となり得ます。すぐに判断が難しい場合は、保育士さんや学校の先生、児童館のスタッフの方など、経験豊富な第三者の意見を参考にすることも有効です。
「安全基地」としての存在を示す
お子さまがどんな冒険をしていても、いつでも安心して戻ってこられる「安全基地」としての存在でいることを心がけましょう。常に目を離さず、何かあったらすぐに駆けつけられる物理的な距離を保ちながらも、すぐに口出しせず、まずは見守る時間を作ってみることも大切です。お子さまが助けを求めたときや、困ったときに優しく迎え入れる姿勢を示すことで、お子さまは安心して新しいことに挑戦し、失敗してもまた立ち上がる勇気を持つことができるでしょう。
スモールステップでの挑戦を促す
いきなり大きな冒険に挑戦させるのが心配な場合は、お子さまの興味の対象の中で、より小さな、管理しやすいリスクの挑戦から始めるのも良い方法です。例えば、近所の公園で一番簡単な遊具から始め、慣れてきたら少し難易度の高いものに挑戦するなど、段階的にレベルアップできるような環境を用意したり、声かけをしたりすることができます。
事前準備と明確なルールの設定
新しい場所へ行く前や、普段と違う遊びをする前に、危険がないか親御さんが事前にリサーチしたり、お子さまと一緒に「ここまでなら大丈夫だよ」「これだけはしないと約束しようね」といった具体的なルールを決めたりすることも効果的です。ルールを押し付けるのではなく、なぜそのルールが必要なのかを、お子さまが理解できる言葉で伝えるようにしましょう。
親自身の安全許容範囲と向き合う、または役割分担を考える
親御さん自身の内向的な性質からくる安全への強い意識を完全に変えることは難しいかもしれません。ご自身の安心できる範囲を少しずつ広げる努力も大切ですが、どうしても心配で目が離せない、という場合は、パートナーや祖父母、信頼できる友人など、他の大人に協力をお願いし、お子さまの活動的な面へのサポートを分担することも現実的な選択肢です。一人で抱え込まず、頼れる人に相談してみましょう。
日常のシチュエーションから考える
例えば、近所の公園に行ったとき、お子さまが他の子が躊躇するような高いアスレチックのてっぺんにあっという間に登ってしまったとします。見ている親御さんは心臓が止まる思いで、「危ないから降りて!」と叫びたくなってしまうかもしれません。しかし、そんなときこそ、一度深呼吸をして、そのアスレチックが安全基準を満たしているか、他のお子さまも遊んでいる場所か、といった状況を確認してみましょう。そして、すぐに声をかけるのではなく、お子さまの様子を数秒でも見守ってみることも大切です。もし、お子さまが困っていたり、本当に危ない体勢になっていたりしたら、その時に具体的に「右足をこっちに置くと安定するよ」「バーをしっかり握ってね」のように、どうすれば安全かというヒントを声かけすることができます。登りきってお子さまが得た達成感は、次に挑戦する勇気につながるでしょう。
まとめ
外向的なお子さまが世界を探求し、成長していく上で、冒険心は欠かせない要素です。内向的な親御さんにとっては、そのパワフルなエネルギーや予測不能な行動に心配が尽きないこともあるかもしれません。しかし、親の役割は、全ての危険から遠ざけることではなく、安全な環境を整え、時に見守り、挑戦をサポートすることにあります。お子さまの「やってみたい」という気持ちと、親御さんの「安全に」という願い、その両方を大切にするバランスを、焦らず、親子のペースで見つけていっていただきたいと思います。お子さまが自信を持って一歩を踏み出せるよう、温かく見守る存在であり続けてください。